長らく使用していたWordPressと自作テーマを手放し、Astroによる静的ホスティングに進化後退しました。前のサイトは2015年に制作したあと(大学院時代はアクティブに更新し)2021年あたりまで運用していましたが、それ以降ながらく塩漬けになっていました。

WordPressは厳しい

WordPressは一般に広く普及しているCMSですが、記事やそれにひもづくタグが全てRDBに保存され、その状態や関係性がテーブル定義に則って整理されます。記事の読み書きはエディターを経由しサーバー上のDBに対してCRUD処理として実現されます。表示時にはDBフェッチが走ります。API等も整備され、表示速度も爆速ではないにしろ十分ではあるため慣れれば良いものの、記事データが手元から遠いこと、エディターを通してDB操作をする冗長さが根幹にあります。

最近はAIアシストが入ったVS Codeのような軽量エディターでコードのみならず文章も書くことが自分の中で定着したためか、WordPressが提供するオンラインエディターの書き味がどうにも許せなくなってしまっていました。記事に触るために、WPのUIにログインしてページを下ったりするなど地味な手間がブロッカーとしてありますし、記事を取り出す前提として、PHPが稼働している状態をつくる必要があります。(サーバーが動かないときには記事の読み書きはできない。WordPressのDBが持つドメインとの関係性が崩れたりしても見れなくなる。)

markdownのローカル編集

一方で近年、Obsidianの思想 (Your thoughts are) Yours. 1といったコピーで謳われるように、テキストは所詮テキストなのだからわかりやすいテキストファイルとしてローカルにいじりやすいかたちで保存し、それを表示側で柔軟に表示・関係づけをするという考えが普及してきています。私は橋本麦さんの考えに直接的に影響をうけつつ、比嘉了さんのサイト更新を横目に見つつ、よりライトな発想で自分のサイトをいじいじできるような構成とするため、

  • VS Codeによるmarkdownのローカル編集
  • Astroによるmarkdownの統一的な整形
  • Apacheさえあれば実現できる軽量なhtmlの静的ホスティング

のみをまず実現することとしました。ひとまず気軽に考え整理する道具として使ったり、過去コンテンツをつついたり、自分のポートフォリオを整理編集しやすくなることがアフォードされます。タグによる整理や可視化は現時点ではされていなくても、後からいかようにもできるはず、という発想です。

この考えでコンテンツを十分に捏造したり蓄積したりできるようになったら、前のサイトで挑戦したかったようなWebならではの奥行きを加味したソートや自由な表示にも挑戦したいとうっすら感じています。のびしろ残しです。

申請ごとに向くプロフィール

これは書く必要がないことですが、公的な申請などをするにあたって、自分の身分をわかりやすく示す必要があり、その示し方には業界ごとにお作法があるように思います。例えば、Webデベロッパーとアカデミアに片足を入れているアーティストとでは、「ポートフォリオ」「プロフィール」の書き方が違うように見えます2。自分もどちらかというと後者に向くものを作る必要があったというのもサイトの作り変えの要因でした。

index.htmlの回帰

なお、ページトップにはlight/darkモードでそれぞれ異なるp5.jsのスケッチを配置しています。両方ともサイン波──シンプルな周期の組み合わせのみで、ダイナミックなストローク/運動表現をできないか?といったアイディアで制作されたものです。他にも遊び要素などは入れていきたいと考えています。

単にディレクトリにindex.htmlを置くだけの構成にすると色々できることも見えてきます。p5.jsのスケッチの直置きもその一つです。また何年か前に最盛期を迎えてそして過ぎ去ったGenArtのNFTも基本的に実体はindex.htmlに過ぎません。近年では主要プラットフォームも閉鎖し、資産保護における永続性や堅牢性という誤謬が顕在化していますが、IPFSなどに分散化するまでもなく、また誇大な宣伝を斜めに見つつ、自分の芸術的資産はわかりやすく手元に置くという素朴な試みがまず重んじられるべきと思います。

Footnotes

  1. Manifestoを参照。アプリが閉鎖してもデータ所有はユーザーにある。

  2. 例えば作家的な立ち位置を強調する場合、プロフィールを「CV(Curriculum Vitae)」として書いているはずです。一方でWebのフロントエンドのデベロッパーなどはポートフォリオをクールな表現の場として利用しています。