作品について
媒体: | VR(HTC Vive), プロジェクション |
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制作年: | 2017年 |
技術/ソフト: | openFrameworks, Unity5, VDMX5, Ableton Live |
Source Code: | 未公開 |
HTC Viveを装着してVR上の楽器インターフェースを操作し、音を鳴らすと同時にオーディオ・ビジュアルのプロジェクションをおこなう。VRのみで完結するのではなく、VRをシーケンサーにみたてて楽器的なインターフェースのみにし、外の人が鑑賞できる音と絵をVRとは別の外界に出力するという作品となる。
作品において、VR上の世界を”Interface”、外界つまりプロジェクションされた映像と音が再生される世界を”Reality”と定義している。
Interface
シーケンサーインターフェースの操作は、Leap Motionを用いることで手を用いて、抽象化されていない(ボタン操作やコントローラー操作ではない)ジェスチャー入力になっているため、デジタルメディアに相対する身体性が強調される。
Reality
外部へのプロジェクションは、Interfaceからの入力を全てMIDI(channel, note, velocity)として反映させたオーディオビジュアルになっている。打音が多いほど、世界がダイナミックな様相となる。インターフェースからの入力と反応する図像の対応は以下のようになっている。
コンセプト
主観的没入体験から周囲と共有可能な体験へ
VRは得てして外界と隔絶したメディアになってしまう傾向が強い。一度ヘッドセットをつけると外の人間は見えなくなるし、ヘッドセットを装着して楽しむ個人を外から見ると滑稽に見える。VRヘッドセットをつけると周囲との断絶を強制されてしまう。このような支持体の特性を乗り越えるため、完全に別世界の人間になってしまうのではなく、プレーヤーとオーディエンスという地続きの関係性を確立できるような装置としてVRを用いることを考えた。
入力装置としてのVR
VRは多様な使い方があるが、それ自体で完結する没入空間とならないよう楽器的なインターフェースのみに絞って入力のみの単機能とした。音と映像を操作するインターフェースとしては、3次元グリッドのシーケンサーを採用した。また、VR上の特性を活かし二次元の延長的な操作(ボタン操作やキーボード操作)に陥るのでなく、3次元の身体の所作として自然な振る舞いを入力のトリガーに設定した。
2次元インターフェースから3次元インターフェースへ
これまでのPC上のソフトウェアを始め、様々なインターフェースが主流となっているが、Leap Motionのようなハンドトラッキングのセンサーや、VRといった3次元の空間把握がしやすいデジタルメディアのSDKの登場は、少なからずインターフェースの3次元化を推し進めるように考えられる。本作では、その可能性にアプローチしたものでもある。
システム構成
参照作品
- Knowbotic Research, “smdk – Simulationspace of Mobile Datasounds”, 1993.
- 岩井俊雄, “映像装置としてのピアノ”, 1995.
- 岩井俊雄/YAMAHA, “tenori-on”, 2010.
- Lyra inc. , “Lyra VR”, 2016.